血液内科では下記のような疾患・症状を診察します。
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貧血や多血症などの血液疾患
血液は、酸素を運ぶ赤血球や、細菌やウイルスなど体内に侵入してきた病原体を攻撃する白血球、出血を止める血小板や凝固因子などで構成されています。これらは生命の維持には必要不可欠なものです。血液の疾患によって、血球等の数が減少したり、機能が低下したりすると、命にもかかわる危険な状態になる場合もあります。当院では、大学病院や基幹病院の勤務医として従事し、日本血液学会認定の血液専門医として豊かな経験を持つ院長が、血液の疾患に関し専門性の高い診療を行っていきます。
貧血
血液中に含まれる細胞の一つである赤血球にはヘモグロビンというタンパク質が含まれています。このヘモグロビンは呼吸によって取り込まれた酸素と結びついて、全身へと酸素を運びます。このヘモグロビンが不足した状態が貧血です。貧血になると、全身に十分な酸素が供給されなくなり、様々な症状が現れます。また、酸素の供給を補うために心臓は通常よりも多くの血液を送り出さねばならず、心臓の負担か増加する場合もあります。
貧血の原因としては、鉄欠乏性貧血など、赤血球・ヘモグロビンを作るのに必要な栄養素(鉄のほか亜鉛、葉酸、ビタミンB12など)の不足や、頻発月経、過多月経などの月経異常および胃・十二指腸潰瘍やがんなどによる出血により、赤血球・ヘモグロビンが不足する出血性貧血、さらに細菌感染、免疫の異常、激しい運動などで赤血球が破壊され、赤血球の生成が追い付かずに起こる溶血性貧血があります。ほかに骨髄で正常に赤血球が作られなくなる再生不良貧血や白血病などの病気、造血ホルモンに異常が生じる腎臓の病気などが原因として挙げられます。
貧血の主な症状としては、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、疲れやすいなどがあります。こうした症状がみられた場合は、お気軽にご相談ください。また、貧血が進行していくと、顔色不良(赤みがなくなり黒っぽくなる)、匙状爪(爪が反り返りスプーンのようになる)、味覚障害、舌にヒリヒリする感じなどが出現するようになります。
主に血液検査によって診断を行っていきますが、必要に応じて、貧血の原因を詳しく調べる検査を行う場合があります。治療法は原因が何かによって異なっていきます。栄養素が足りていない場合は、錠剤などで補充していく治療を行います。
多血症
貧血とは逆に血が多い(濃い)状態を多血症といいます。血液中のヘモグロビン濃度やヘマトクリット値、赤血球数が上昇し、基準値よりも高い状態になる疾患です。赤血球量の増加や血液の粘り気の上昇によって、いわゆる血液がドロドロの状態になり、高血圧や、体の血管の各所で血栓ができるリスクが高まります。それにより心筋梗塞、脳梗塞などの血栓症を引き起こす場合もありますので、注意が必要です。
多血症の原因としては、最も多いのが喫煙です。喫煙時に発生する一酸化炭素は酸素の270倍もヘモグロビンと結びつきやすいと言われます。そして体内が酸素不足になると、それを補うために赤血球が増加します。また睡眠時無呼吸症候群(SAS)も多血症の原因となります。SASは夜間に尿が増え、脱水症状になり血液が濃くなることと、呼吸が止まることによって低酸素状態になります。さらに造血ホルモンであるエリスロポエチンが増えることで、赤血球が増えてしまいます。
またそのエリスロポエチンを、肝細胞がん、腎細胞がん、脳腫瘍(血管芽腫)、子宮平滑筋腫、褐色細胞腫などの腫瘍が過剰に作ることで、多血症を来している場合や、「真性多血症」といって、遺伝子異常により赤血球を作る細胞が増殖する血液がんの一種である血液疾患が原因の場合もあります。そのほかには、嘔吐・下痢などによる脱水状態や。利尿薬の使用などによることもあります。多血症の治療も、その原因によって異なります。